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ろ過材

Filter Sand

ろ過砂

除濁

ろ過砂による水の浄化は、砂層による浮遊物の阻止・吸着、水溶物の吸着などの物理的作用によって行われるものと、生物化学的な相互作用によって行われるものがあります。
ろ過池内は微小な砂が集まって、何百、何千トンもの砂層を形成しています。この小さな砂と砂の空隙も1ミクロンに満たない細菌に比べれば非常に大きな隙間となるにもかかわらず、その大部分は砂層において除去されています。ろ過開始初期には、ゼータ電位が大きく関与していること、マンガン・鉄共存下では、鉄の方が優先的に除去されること、砂の表面成分によって汚泥フロックの付き方が違うこと等の点が解明されつつあります。このようなろ過についての研究やろ過材の開発などは、弊社の協力機関である日本濾研(株)にて日夜行っています。
急速ろ過法、緩速ろ過法のいずれにおいても、ろ過砂の果たす役割は大きく、ろ過砂は「水道の命」と言われています。

品質

砂ろ過法において、ろ過池維持管理はろ過砂の物性・粒度に負うところが非常に大きく、ろ過砂の品質選定は極めて重要です。

ろ過砂の物性ろ過砂の品質は石英質の多い硬い砂が適しており、ごみ、粘土、汚泥などの不純物質が混入していない清浄な砂でなければなりません。 また、石灰質が多く含まれていると、水に溶解して水の硬度を高め、ろ過水のpH値が上昇してしまうため、ろ過砂には適さないとされています。
 特に急速ろ過法では、逆流洗浄が頻繁に行われるため、ろ過砂は摩耗し粒子の小さいものが流出してしまいますので、石英質の多い硬質で粒径の揃った砂が必要とされるのです。
ろ過砂の粒度
(有効径・均等係数)
ろ過砂の粒度、即ち大きさと揃いの程度は、有効径と均等係数で表します。これらを求めるには、JIS Z 8801-1で定められている試験用ふるいで篩い、 そのふるいを通過した砂の重量の百分率を対数確率紙上にプロットして粒度加績曲線を作図し、それを基に算出します。有効径が小さければ砂の粒子は小さく、粒径がよく揃っていれば、均等係数の値は小さくなります。
ろ過砂の均等係数が1.0に近いものであれば、粒径の揃ったろ過砂であり空隙の大きさもほぼ均一となります。

ろ過砂のふるい分析曲線

有効径:0.6mm   均等係数:1.2 
有効径:0.6㎜   均等係数:1.7

急速ろ過において、ろ過層が汚泥等を補足する層厚は15~20㎝程度までといわれています。
従って、この部分においては特に図-1-1のように均一な粒径のろ過砂が必要となります。
また、粒径が均一であるほど逆流洗浄の際の膨張率が高く、ろ過砂は適切な洗浄がなされます。
図-1-2のように粒径が不均等なろ過砂では、表層近くでのみろ過が行われるため、
逆流洗浄の回数が多くなりろ過効率が落ちます。
また、洗浄の度に細砂が流出して、有効径が次第に大きくなる傾向があります。

急速ろ過法緩速ろ過法
ろ過方法狭い用地で大量のろ過をすることが出来ますが、ろ過材が粗いため、原水をそのままろ過すると濁りが漏出してしまいます。そのために前処理で必ず凝集剤を使用して、凝集沈殿を行い、その上澄水をろ過します。現在では、この方法が約7割を占めます。ゆっくりとろ過をする方法です。前処理はほとんど必要なく、砂面上に自然につくられる生物ろ過膜を通してろ過するのでろ過水は非常にきれいで、細菌類もかなり除去出来、生物膜によって酸化作用が行われるため、微量の鉄、マンガン、アンモニア、陰イオン界面活性剤も除去でき、有機物等も減少します。
ろ過砂急速ろ過池ではろ過速度が120~150m/日で、損失水頭が1.5m前後になるとろ過材の洗浄を行います。洗浄方法の1つである逆流洗浄は下部圧力室から浄水をろ過池内に圧入して砂を浮上させ、砂と砂がもみ合って汚れを落とす仕組みになっており、均等係数が揃っていないと細かい砂は逆流洗浄による浮遊が大きくまた粗砂は逆に浮遊が少ないので全体的に成層化してしまいます。すると、表層だけでろ過が行われるためろ過閉塞が起こりやすくなり、運転に支障をきたしてしまいます。 このような問題を未然に防止するためには均等係数の小さいものがろ過砂に適していると考えられます。均等係数が小さいものほどろ過効果が高まり、逆流洗浄の際にも効果的にフリーボード(膨張率)が大きくなり、砂がよく混合するので砂の洗浄効果も上がります。また、有効径については、小さすぎると砂と砂の間隙が狭くなるのでろ過速度が遅くなり、粗すぎると汚泥やフロックを除去できなくなることから、急速用ろ過砂は今までの実績から0.5~0.65mmが多く用いられているのです。緩速ろ過池では、生物ろ過膜を壊さない様にする為ろ過速度は急速ろ過池よりも遅く、最大8m/日程度なので、有効径は小さく0.30~0.45mmのものが多く用いられています。また逆流洗浄を行わない事や細砂と粗砂が混合している方が効果的なろ過層を形成する為、均等係数は2.0以下となっています。

以上のような点から、ろ過砂は物性が優れ、ろ過方法に適した粒度であり、更に水質に適合した高品質のものが最適です。天然の砂のように粒子が不揃いであると均等係数の値は大きくなります。 均等係数を良くすることはろ過砂を生産する上での絶対条件ですが、天然の砂から採取できるろ過砂は急速用で10%、緩速用で30%程度であり、有効径、均等係数を揃 えるために高度の砂を篩い分ける技術が必要となります。当社では長年にわたる経験と最先端の技術を駆使して製品の生産 を行い、厳しい社内基準に基づき、篩い分け試験、 理化学試験を行って検査することにより高品質のろ過砂をご提供させていただいています。

日本水道協会(JWWA A 103:2006-2)水道用ろ過砂 抄記

ろ過砂は急速ろ過池用と緩速ろ過池用があり、その違いは主として粒径によります。日本水道協会規格(JWWA A 103:2006-2)では次のように規定されています。

《主成分及び品質》
ろ過砂は、ろ過池におけるろ過及び洗浄が、安定かつ効率よく行うことができるものであって、主成分、品質(物性)及び品質(浸出性)の規定に適合しなければならない。

◎主成分
ろ過砂の主成分はけい酸で、天然に産するけい砂とする。

◎品質
品質(物性・浸出性)は、定められた条件で試験を行い表1の規定に適合しなければならない。

[表1 品質]
項目品質規定

洗浄濁度 (度)30以下
密度 (g/cm3)2.57~2.67
強熱減量 (%)1.3以下
摩滅率 (%)3.0以下
塩酸可溶率 (%)3.5以下


異常でないこと
臭気異常でないこと
色度 (度)0.5以下
濁度 (度)0.2以下
鉄及びその化合物 (mg/L)0.03以下
マンガン及びその化合物 (mg/L)0.005以下


《外観及び寸法》
◎外観
外観は定められた条件で試験を行い、表2の規定に適合しなければならない。

◎寸法
寸法は、急速用ろ過砂及び緩速用ろ過砂ごとに定められた条件で試験を行い、表2の規定及び購入者等からの仕様書に示される寸法に適合しなければならない。

[表2 外観及び寸法]
項目外観及び寸法規定
急速用ろ過砂緩速用ろ過砂

外観きょう雑物、偏平又はぜい弱な砂、及び砂鉄などの含有の少ないもの

有効径 (mm)0.45~0.700.30~0.45
均等係数1.7以下2.0以下
最大径 (mm)2.0以下2.0以下
最小径 (mm)0.3以上0.18以上

JWWA A 103:2006-2 試験結果

JWWA A 103:2006-2
品質規定
弊社高萩工場産
試験結果
洗浄濁度 (度)30以下10
密度 (g/cm³)2.57~2.672.64
強熱減量 (%)1.3以下0.80
摩減率 (%)3.0以下0.50
塩酸可容率 (%)3.5以下0.80

化学組織

SiO₂Al₂O₂Fe₂O₃FeOMnOMgOCaONa₂OK₂Olg.Loss
高萩産91.74.164.160.02以下0.01以下0.040.01以下0.822.210.82

取扱注意事項

  • 取扱の際には、防塵めがね、マスク、作業手袋等の保護具を着用してください。
  • 眼に入った場合は、こすらず、すぐ清浄な水で洗顔し、医師の手当を受けてください。
  • 保管の際、品質管理上、長期間直射日光にさらさないようしてください。
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