Rapid filter Maintenance Work
急速ろ過池更生工事
更生工事(リサイクル工事)とは、正常なろ過機能を維持するために行う、ろ過池の総合メンテナンス工事です。
その工程は、まずろ過池の運転を一旦停止させ、既存の各ろ過材の層厚を計測します。その後ろ過池から汚れたろ過材を各ろ過材ごとに搬出します。搬出したろ過材は浄水場内に組み立てた仮設洗浄プラントで洗浄・篩い分けを行います。ろ過池内部(ろ壁、表洗管、集水装置、圧力室内)の点検・修理をします。洗浄されたろ過材を再びろ過池へ敷き均すことによって一連の工事は完了します。
当社では工事の前後に、ろ過材の汚れの状況を分析するためのサンプル採取と、3Dグラフによりろ過層の状況を把握できる不陸調査も行います。これらのデータは、お客様にろ過材の状況を明確に確認していただくとともに、今後のメンテナンス時期を決めるひとつの目安とされています。
このような更生工事によりろ過設備への問題は解消され、安全な水道水の供給を実現する基盤となるのです。更に、長年の経験により得られたノウハウと膨大なデータを生かし、ろ過池メンテナンス時期の提案・診断からアフターフォローまで、急速ろ過池・緩速ろ過池ともに一貫したシステムをとっています。また、工事の際にろ過層の現状把握を行うため、ろ過池の維持管理カルテ(方向性を打ち出すためのろ過池把握データ、データに基づく考察・対策)の作成が可能であり、更生工事後のろ過池の維持管理をサポートする資料として活用されています。
当社では近年の原水悪化に対処する更生工事の新工法として、「シフォン式ろ過砂洗浄機」の開発をいたしました。これらは最先端の機械化技術を駆使した、たゆまぬ努力と長年の経験が融合した成果であり、いかなる状況にも対応できる画期的システムです。当社は、環境汚染問題が我々の生命の源である水道水へ押し寄せてくることを防ぐため、ろ過材専門メーカーであるからこそできることを追求すると同時に、あらゆる分野の情報を集積することによって、より高度かつ広範な技術を創り上げていきたいと考えています。
更生工事の必要性
浄水場のろ過砂は、長年繰り返し使用していると、汚れが付着し、本来発揮されるろ過機能が低下してきます。このような状況のままろ過を続けると、ろ過池が正常に機能せず、安全な水の供給ができなくなってしまいます。この事態を未然に防ぐには、新しい砂への入れ替えもしくは、砂を洗浄し再利用するという2つの方法があります。
新しい砂に入れ替えるには限りある天然資源からの砂の採取が必要となり、環境保全への配慮からも難しい問題があります。また、当然コストの増大にも繋がってしまいます。そこで現在、主流となっているのが、更生工事による砂の洗浄・再利用です。当社ではすでに昭和30年代後半から、独自に考案した砂のリサイクル工事である更生工事を提唱してまいりました。
ろ過材搬出工程 | ||||
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施工前ろ過材サンプル | 施工前計測 | アンスラサイト搬出 | ろ過砂搬出 | ろ過砂利搬出 |
洗浄・篩い分け | |
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ろ過砂洗浄篩い分け | ろ過砂利洗浄篩い分け |
乾式搬出工法
近年、原水の急激な悪化をはじめとした様々な要因から、ろ過池への負担が大きくなり、従来通りの更生工事ではろ過砂の再生化が難しくなってきました。そこで当社は、より有効で合理的な洗浄技術の研究開発に取り組み、1997年「シフォン式ろ過砂洗浄機」を発表しました。これにより従来工法では考えられなかった、新砂に匹敵する洗浄濁度30度以下の洗浄効果を可能にしました。また、逆流洗浄の際に発生する流出砂も、新砂並の比重・粒径に戻すことによって大幅に削減し、ろ過砂として再利用することができます。
粒度補正
粒度補正には2通りの方法があります。ひとつは既存のろ過砂の有効径・均等係数をもとにどのような有効径・均等係数のろ過砂を補充すれば設計値に近づくか。ろ過材専門メーカーとして蓄積されたデータと実績に基づいて最善の方法をご提案します。もうひとつは現場で既存のろ過砂から設計値通りの有効径・均等係数を洗浄・篩い分ける方法です。事前の調査・試験から歩留まりを計算して工場と同様の設備を仮設プラントとして持ち込んで設計値通りの有効径・均等係数の洗浄砂を篩い分けます。
土木現場の救世主、排水処理はおまかせ
従来、ろ過材に過剰な負荷がかかる土木現場等の排水処理では、頻繁なろ過材交換が必要となるため、現場作業において大きな負担とコストがかかり、障害になっていました。こうした問題を「モバイル(移動式)シフォンタンク」は解決します。
当装置内に当社独自の「シフォン洗浄」を取り入れることにより、ろ過材は定期的に揉み洗いがなされて常に清浄な状態を保ちます。そのため、固着を防ぎ、安定した処理水水質を得ることができるのです。また、コンパクトな設計で、操作性にも優れているため、メンテナンスフリーとなりコストの大幅な削減も望むことができます。
※ろ過材は常に清浄な状態を保つため、ろ過材交換頻度の高かった現場でも1現場中の交換は原則として不要です。
ろ過池内点検・補修工程 | ||||||
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ろ過池洗浄 | 集水装置補修・点検 | 圧力室点検・清掃 | 壁面補修防水防触 | 表洗菅塗装 | 不陸防止ネット設置 | 圧力室防水塗装 |
ろ過材搬入工程 | |||
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隅出し計測 | ろ過砂利搬入敷き均し | ろ過砂搬入敷き均し | アンスラサイト搬入敷き均し |
当社では、調査工事や更生工事実施時期を目測で判断する事ができる「オークライン」のご提案もさせていただきます。