ろ過砂の物性 | ろ過砂の品質は石英質の多い硬い砂が適しており、ごみ、粘土、汚泥などの不純物質が混入していない清浄な砂でなければなりません。 また、石灰質が多く含まれていると、水に溶解して水の硬度を高め、ろ過水のpH値が上昇してしまう為、ろ過砂には適さないとされています。 特に急速ろ過法では、逆流洗浄が頻繁に行われる為、ろ過砂は摩耗し粒子の小さいものが流出してしまいますので、石英質の多い硬質で粒径の揃った砂が必要とされるのです。 |
ろ過砂の粒度 (有効径・均等係数) |
ろ過砂の粒度、即ち大きさと揃いの程度は、有効径と均等係数で表します。これらを求めるには、JIS Z 8801-1で定められている試験用ふるいで篩い、 そのふるいを通過した砂の重量の百分率を対数確率紙上にプロットして粒度加績曲線を作図し、それを元に算出します。有効径が小さければ砂の粒子は小さく、粒径がよく揃っていれば、均等係数の値は小さくなります。 ろ過砂の均等係数が1.0に近いものであれば、粒径の揃ったろ過砂であり空隙の大きさもほぼ均一となります。 |
有効径:0.6mm 均等係数:1.2 | 有効径:0.6mm 均等係数:1.7 |
急速ろ過において、ろ層が汚泥等を補足する層厚は30㎝程度までといわれています。
従って、この部分においては特に図-1-1のように均一な粒径のろ過砂が必要となります。
また、粒径が均一であるほど逆流洗浄の際の膨張率が高く、ろ過砂は適切な洗浄がなされます。
図-1-2のように粒径が不均等なろ過砂では、表層近くでのみろ過が行われるため、
逆流洗浄の回数が多くなりろ過効率が落ちます。
また、洗浄の度に細砂が流出して、有効径が次第に大きくなる傾向があります。
急速ろ過法 | 緩速ろ過法 | |
ろ過方法 | 狭い用地で大量のろ過をすることが出来ますが、ろ材が粗いため、原水をそのままろ過すると濁りが漏出してしまいます。そのために前処理で必ず凝集剤を使用して、凝集沈殿を行い、その澄水をろ過します。現在では、この方法が約7割を占めます。 | ゆっくりとろ過をする方法です。前処理はほとんど必要なく、砂面上に自然につくられる生物ろ過膜を通してろ過するのでろ過水は非常にきれいで、細菌類もかなり除去出来、生物膜によって酸化作用が行われるため、微量の鉄、マンガン、アンモニア、陰イオン界面活性剤も除去でき、有機物等も減少します。 |
ろ過砂 | 急速ろ過池ではろ過速度が120~150m/日で、損失水頭が1.5m前後になるとろ過材の洗浄を行います。洗浄方法の1つである逆流洗浄は下部圧力室から浄水をろ過池内に圧入して砂を浮上させ、砂と砂がもみ合って汚れを落とす仕組みになっており、均等係数が揃っていないと細かい砂は逆流洗浄による浮遊が大きくまた粗砂は逆に浮遊が少ないので全体的に成層化してしまいます。すると、表層だけでろ過が行われるためろ過閉塞が起こりやすくなり、運転に支障をきたしてしまいます。 このような問題を未然に防止するためには均等係数の小さいものがろ過砂に適していると考えられます。均等係数が小さいものほどろ過効果が高まり、逆流洗浄の際にも効果的にフリーボード(膨張率)が大きくなり、砂がよく混合するので砂の洗浄効果も上がります。また、有効径については、小さすぎると砂と砂の間隙が狭くなるのでろ過速度が遅くなり、粗すぎると汚泥やフロックを除去できなくなることから、急速用ろ過砂は今までの実績から0.5~0.65mmが多く用いられているのです。 | 緩速ろ過池では、生物ろ過膜を壊さない様にする為ろ過速度は急速ろ過池よりも遅く、最大8m/日程度なので、有効径は小さく0.30~0.45mmのものが多く用いられています。また逆流洗浄を行わない事や細砂と粗砂が混合している方が効果的なろ層を形成する為、均等係数は2.0以下となっています。 |
JWWA A 103:2006-2 品質規定 |
弊社高萩工場産 試験結果 |
||
洗浄濁度(度) | 30以下 | 10 | |
密 度 (g/cm³) | 2.57~2.67 | 2.64 | |
強熱減量 (%) | 1.3以下 | 0.40 | |
摩減率(%) | 3.0以下 | 0.40 | |
塩酸可容率 (%) | 3.5以下 | 0.30 |
Sio₂ | Al₂O₂ | Fe₂O₃ | FeO | MnO | MgO | CaO | Na₂O | K₂O | lg.Loss | |
高萩産 | 91.7 | 4.16 | 0.41 | 0.02 以下 |
0.01 以下 |
0.04 | 0.01 以下 |
0.82 | 2.21 | 0.40 |