緩速ろ過とは、ろ過層の表面に自然にできる生物膜を通してろ過する方法で、4~5m/日程度のゆっくりした速度で水を通過させるろ過法です。 緩速ろ過池の原水濁度は10度以下ですから急にろ過層がつまることはありませんが、20~40日位経つとろ過層表面に汚泥やその他のものが溜まり損失水頭が増加してきます。そこで詰まった表面を除去する「削り取り」を行います。数日後生物膜が生育して再びろ過機能が回復し、運転を再開します。
「削り取り」を繰り返すうちにろ過層は徐々に減少してきます。そのために元のろ過層厚に戻す「補砂(天地替え)」を行います。 新しい砂(浄砂)を下部に敷き、その上部に旧砂を敷き込みます。ろ過池全体でこの作業を行いますが、新砂と旧砂とを入れ替えるため「切り返し」「天地替え」と言われています。
天地替え
砂層の厚さが設定値より20~30cm減となったときが一応の目安です。
ろ過池の中に入っていた旧砂を上の層に、新砂や洗浄した削り取りろ過砂を下の層に入れ替え、ろ過能力を回復させる工事です。
緩速ろ過池の更生工事
しかし、このような作業を行っていても、長年同じ砂を使い続けると徐々に汚れが砂の表面に蓄積し、また砂利層や集水部へ汚れが落ち込んでいき、処理水水質に悪影響を及ぼします。そのため定期的な入替工事や更生工事が必要になります。
1) 長年の削り取りと補砂の繰り返しにより、削り取り時に除ききれなかった汚泥がろ過砂下層部及び、砂利層
または集水装置にまで侵積することにより、ろ過水に悪影響を及ぼす恐れがあります。
2) 汚泥物質が剥離してブレークスルーが起こり、ろ過水に悪影響を及ぼします。
3) 下部集水装置の目地やモルタルや壁面コンクリートの劣化・破損が生じています。
4) 維持管理費の増額に繋がってしまいます。
※平成19年4月1日付「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」:掻き取り砂の
洗浄水濁度2度以下を実現した「シフォンアンダー2」や「高速度篩分洗砂機」もご用意しております。